大学・短大でかかる教育費は、一度にまとめて支払う場面が多くなります。
受験費用や学校納付金などの入学費用として、入学するまでに約60万円~100万円ほど準備しておく必要があります。
高校3年生の秋ごろに実施されているAO入試を受験予定の場合は、もっと早い段階でまとまったお金が必要になるので注意が必要です。
また、お住まいの地域によっては、子どもが自宅から離れて1人暮らしをする可能性もありますね。
子どもが自宅から出て生活する場合は、大学・短大の入学費用・在学費用だけでなく、新生活のセットアップ費用と仕送り額も想定しておく必要があります。
今回は、教育費の中でも最も費用がかかるとされている大学・短大の期間に絞って、見ていきたいと思います。
(幼稚園から高校までの教育費についてはこちらから。)
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日本政策金融公庫では、毎年9月に「教育費負担の実態調査」を行っています。
この調査の目的は、高校生以上の子どもをもつ保護者が子ども1人に対して、1年間に学校の入学費用や在学費用、仕送りなどで支出した経費の実態を把握することです。
直近の調査は、2020年9月7日~9月14日に行われ、その調査結果が公表されています。
【調査内容】
対象:64歳以下の男女、かつ、高校生以上の子どもをもつ保護者
方法:インターネットによるアンケート調査
(1)まとまった資金が必要な大学・短大の入学費用
国公立大学の入学費用は77.0万円、私立大学文系は95.1万円、私立大学理系は94.2万円、短大は58.2万円となっています。
国公立大学、私大文系・理系ともに、前年調査よりも負担費用は増えており、次第に関しては10万円近く増額していることが分かります。
一方、短大に関しては、前年調査よりも負担費用は減っています。
国公立大学に関しては、入学しなかった私立大学等への納付金が14.8万円となっています。

(2)大学・短大における1年間の平均在学費用(子ども1人当たり)
国公立大学の1年間の在学費用は115万円、私立大学文系は152.1万円、私立大学理系は192.2万円、私立短大は176.9万円となっています。
国公立大学、私大理系、私立短大は、前年調査よりも負担が大幅に増加しています。国公立大学、私大理系は、約8万円の増加、私立短大は30万円近い増額となっています。
背景には、授業料の増額が影響しているようです。

(3)自宅外通学者への年間の仕送り額
大学や短大に自宅から通えない場合は、学校近くに下宿し生活する必要があります。
この調査では、全体の27.4%の世帯が自宅外通学者のいる世帯となっています。
保護者から自宅外通学者への仕送り額は、年間平均90.3万円、月額7.5万円となっています。
前年調査よりも、月額1万円、年間で12万円減少していることが分かります。

(4)自宅外通学を始めるための費用
自宅外通学を始めるためには、アパートの賃貸契約や家財道具などを揃えなければいけません。
初期費用として、入学者1人当たり平均で39.3万円かかっています。

(5)早めの備えを「卒業までにかかる教育費の総額」
高校卒業後に選択する進路により、かかってくる教育費の総額は変わってきます。
私立大学文系では、国公立大学のおよそ1.3倍の在学費用、私立大学理系では、国公立大学のおよそ1.7倍となっています。

この調査結果は、4年制大学と短大のみとなっています。医薬系の6年制大学、留学を考えている場合は、年間の教育費はもっと高くなる傾向にあります。
どのような進路を選択するか、地域はどの辺りにするか、イメージし情報を集めていけると良いですね。
大学・短大入学までにまだまだ時間があるご家庭では、今から収入の一部を「教育費」として、少しずつ積立しながら備えていきましょう。
【出典】
日本政策金融公庫「令和2年度 教育費負担の実態調査」
日本政策金融公庫「令和元年度 教育費負担の実態調査」
【補足:調査事項】
入学費用:受験費用(受験料、受験のための交通費・宿泊費)、学校納付金(入学金、寄付金、学校債など入学時に支払た費用)、入学しなかった学校への納付金
在学費用:学校教育費(授業料、通学費、その他の学校教育費(教科書・教材費、学用品の購入費、施設設備費等))、家庭教育費(補習教育費(学習塾・家庭教師の月謝、通信教育費、参考書・問題集の購入費など)、おけいこごと)
ファイナンシャルプランナー 原田幸子